茶髪・ピアス禁止の大学

秋田経済法科大学の茶髪禁止令についてはいろいろなところで話題になっているけど、大学生にもなって特定のファッションを押し付けるのが良いか良くないかという視点にとどまっていると思う。

根本的に教育としてどうなんだろう。

10月6日付の大学の発表によると
http://www.akeihou-u.ac.jp/topics/tohatsu/tohatsu.html

  しかしながら近年、学生の意識と社会的常識との段差が目立ってきていることも事実であります。社会人として一般的なマナーやモラルを在学中に教育することは、いわば大学の使命のひとつとなっております。

これを読めば、今回の措置が大学の教育の一環として位置づけられていることがわかる。



9月末の文書へのトップページからのリンクは削除されているけれど、
http://www.akeihou-u.ac.jp/topics/news/news.html
に本文は残っているようなのでこれを見ると。

今回の規則の基になっているのは「高等教育を通じて健全にして善良な社会人を育成する」という本学設置の趣旨であり、学則にも制定されている事項です。

つまり、金髪・ピアスをしている人間は、「健全にして善良な社会人」ではないという人間観を持ってますよと、そしてその人間観に基づいた学生になるように教育していきますよと宣言しちゃってる。

正直言うと、そう言っちゃいたい気持ちは良くわかる。
ウチの進路・就職課長もよく愚痴ってくれるけど、受験偏差値もそれほど高くない大学が、ちゃんと学生を社会に送り出すってことは大変なことです。
実習担当者も良く愚痴ってるけど、苦労して確保した実習先が、学生のオイタで来年からは受け入れませんとなる、これもまた大変なことです。
だから、「相手に受け入れられる格好をしようよ」と呼びかけることはとても大事。
「金髪やピアスは就職活動に当たっては不利になるよ」とちゃんと伝えることも大事。
これを「一応言っといたからね、後は自己責任で」という言い訳のためでなく、本当に相手に伝わるまで頑張るのは本当に大変な苦労。しかし、それをやらないことには立ち行かないマイナー大学の実態は、たぶん大きな大学・有名な大学を出た人にはぴんと来ないかもしれない。

でもね、だからといって、規則を作って管理するっていうのは教育と言えるのか、よく考えてほしい。



こんなことを考えるんです。
私の勤める短大は保育士の養成校です。
そして私自身、下は2歳児を抱える保育園児の保護者でもあります。
わが子の通う保育園にもうちの短大の卒業生が保育士として就職していて良くしてくれています。
保育園にはいろんな親が来てて、当然、金髪の人、ピアスの人だっています。
例えば、金髪の親のこどもが問題を起こしたとき
「やっぱり、あの親のこどもやから」
なんて言う人間観の保育士にこどもを預けたいと思いますか?
私は嫌なんです。
だから、うちの短大の卒業生には、そういう保育士にはなってほしくないし、
うちの短大には、絶対にそういう規則は作ってほしくないなと思うんです。

おまけ、報奨金について

10月6日付け文書では

 一部マスコミで「報奨金の支給」が報じられておりますが、そのような決定はなされておらず、実施するものではありません。かかる報道が誇張され、拡大されて伝えられていることは甚だ遺憾とするところであり、本来の意図するところが歪められて伝わることを深く憂慮いたしております。

とあるが、以前の文書を読むと、

褒章制度につきましても「1万円が妥当なのか」「現金・図書券なのか」また、「茶髪ピアスの子が得をするようでおかしい」という声もあり、これもさらに検討が必要です。

とあって、確かに「決定」にはいたっていなかったのかもしれないが、実施に向けて具体化が図られていたのは明らかで、「一部マスコミ」のせいにするのはどうかと思う。