大学職員のおいしさ

先日の記事にコメントいただきました。

# マイスター 『マイスターです。記事を取り上げていただき、ありがとうございます。
「知的な刺激を受け・成長できる環境にある」「公的な価値の実現に貢献できる」まさにその通りだと思います。これは外部から大学を見たとき、大きな魅力になる点ですよね。(私も入職時、ここにかなり惹かれました。今でも気に入っている点の一つです)

ただ大学で2年働いて感じるのは、どうやら「人を採用する」ことより、「採用した人を活用する」ことの方に課題が多そうだ、ということです。ブログで取り上げたローテーションの仕組みもその一つですが、モチベーションも能力も高かった方々が日に日に「どうでもいいや」になっていく理由が、色々とあるような気がします。
「居心地が良い」と書いたのは、ご指摘のようにぬるま湯的で、努力している方が報われない組織のあり方を批判する意図です。「はじめは気持ち悪さを覚えるけど、このぬるま湯に慣れると心地よくなる」というところでしょうか。

各大学さんとも、採用しているのは前途洋々の優秀な若者や、前職では活躍していた知的な中途採用者だったりするのに、入った途端みんな「ジムイン」になってしまうのは、このような悪い意味での「居心地良さ」も関係しているんじゃないかな、なんて考えたりする今日この頃です。』 (2006/12/07 01:12)

確かに、マイスターさんの言う悪い意味での「居心地の良さ」というものはあって、何とかしないと冬の時代*1を生き残れない。これははっきりしてる。
ただ、その解決の方向としてその「居心地の良さ」の中には、本来知的な仕事が持つべき良さ、皮肉でなくほんとの意味での良さも含まれてて、うっかりするとその良さを捨てて、世間並みの「効率化」をせかせかと求める仕事にしようっていうことになりはしないかという危惧を持っています。


再びマイスターさんのサイトより引用しながら自分の職場にひきつけて考えてみます。

1:基本的に、定時に帰れてビックリ
2:病欠や有給が優しく認められてビックリ
3:あせりがなくてビックリ
4:仕事上の責任なくてビックリ
5:組織ガバナンスうやむやでビックリ
6:ミッションがあいまいでビックリ
7:キャリアが積み上げられなくてビックリ
8:同業他社との横のつながりにビックリ
9:給料よくてビックリ
10:居心地よくてビックリ

3:あせりがなくてビックリ
4:仕事上の責任なくてビックリ
5:組織ガバナンスうやむやでビックリ
6:ミッションがあいまいでビックリ

これはだめですね、そしてウチの職場にもばっちり当てはまります。

7:キャリアが積み上げられなくてビックリ

ウチの場合はローテーション人事はないのですが、むしろ他の部署のことというか小さな職場なのに全体の流れが見えてこないのが問題ですね。

9:給料よくてビックリ

うーん、どうなんでしょう、悪くはないと思いますが、ウチは同業者としては比較的低位の水準です。
*2


ここでこれらの項目を抜いてみたうえで、先日私が付け加えてみた2項目

  • 知的な刺激を受け・成長することの出来る環境
  • 公的な価値の実現に貢献できる

を付け加えてみましょう

1. 基本的に、定時に帰れる
2. 病欠や有給が優しく認められる
3. 同業他社との横のつながりが強い
4. 知的な刺激を受け・成長することの出来る環境
5. 公的な価値の実現に貢献できる

わお、なんだか素晴らしいじゃないですか。
これだけみると、毎日ぶつぶつ言ってる自分がひどく甘ったれに思えますよね。

特に3番目の点は、なかなか面白い特徴だと思います。

こういった良さを生かしながら、職場作りをするなら、

  • 知的な成長を得られる職場にして、人材の価値を高めていく
  • 給料よりむしろ、働きやすい環境と、仕事へのやりがいで長く働いてもらい回収する
  • 固定的な職場になって、内向きになりがちな点は、同業他社、つまり他の大学職員との交流を通じて風通しを良くしていく

といったことを戦略的に追求していく必要があるのではないかなと思うのです。

で、これは本当に戦略的に経営のトップが追求していく必要があります。

なぜなら、経営が厳しくなったときにもっとも目先の効果が出やすい改革が、こういったゆとりを削ることにあるからです。




ゆとりの法則 ? 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解

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*1:ということはいつかは春が来るのかな?

*2:ちなみに私自身はいま大学院進学のため、正規職員を退いていますので、給料は半分ぐらい。その大学院も家庭の事情で休学中なのですが...