JavaBlackさん
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20060727#p1
経由で
「人月(にんげつ)問題」って何が問題なの?
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060726/244384/

常駐の問題点を端に置いておくと,純粋な単位としての人月に異を唱える人は少ないのではないだろうか。人月という言葉が持っている意味だけを表面的に捉えれば,それは,「平均的な能力を持つ労働者が提供する1カ月当たりの労働量を表した単位」である。これは記者の正直な感想だが,“談合”でもしていない限り,健全な自由競争をしている限り,モノの価格は労働者の総労働時間対価へと収束していくのは自明である。製造業者が作る製品に例えれば,開発コストを生産数で割った値が販売単価になることと似ている。

前提がおかしいね。
労働力には健全な自由競争は成り立たない。
自由競争によって価格が適正に保たれるためには、少なくとも

  • 儲からないとわかれば資本をひきあげて他社・他業種へ投資できること

が必要でしょう。
ライブドアが儲からないとなればうっぱらってパロマ株を買うことが出来るってこと。

中小企業のオーナーなんかは、簡単に自分の会社を売って別の業界に投資するなんてことは出来ないので、不景気になればたひどい買い叩きにあっても泣きを見なくちゃいけないなんてことがある。

労働者の場合はもっと顕著で、労働力という資本を持った人は、労働力市場から資本を引き上げて、他業種へ移すということが根本的に出来ない。せいぜいプログラマがSEになるとか、もっと単純なアルバイトにつくとか、あくまで労働力市場の中で、どこら辺がましかという話になる。

その上、今日働くはずの労働力って言うのは、今日は高く売れないから来年にとっておくということは出来ないから、たとえ不当な値段であっても職にしがみついて今日の給料を手に入れたほうが得になる。
自然とサービス残業とか最低賃金以下の労働なども横行してダンピング合戦になる。

考えてみれば、団体交渉なんていわばカルテルで、企業がやれば独禁法に引っかかるようなことが労働者には特別に認められているのはどういうわけかという話。

  • だから 自分の給料が低いのは公正な競争がないからだなんて嘆くのはやめましょう。 公正な競争なんて行われたら、あなたと同じ能力の失業者があなたのポストを狙うために もっと安い給料で働くでしょう。

まあ、この間違った前提をみとめたうえでも、

製造業者が作る製品に例えれば,開発コストを生産数で割った値が販売単価になることと似ている。

というのは、あくまで市場での平均がそうなるという話であって、じゃあ、
「うちの社の製品は他社と品質は同じですがコストは2倍かかってますので価格も2倍です。」
なんていう話が通用するのかってことですけど。